アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 12話

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」の第12話から。

最終回。

粗筋

フジゼロックス山の中腹に到着したラウルたち。ここでロアが負傷。ヒラマツ老人に付き添われ戦線を離脱する。進むと山の内部へ続く扉と、それに近づけまいとする沢山のモンスターが出現。アイリとラムがこれを対処する役目を負い、ラウルは先を急ぐ。そして遂にフィノを発見。連れて帰ろうとするが、我を忘れたフィノにラウルの声は届かず、攻撃を食らう。それでもラウルは説得を試み、フィノが元に戻りかける。が、魔界への扉が開きはじめ、魔界の血が再興。フィノはラウルの首を絞め始めてしまう。ぎりぎりの状況でも諦めず言葉をかけ続けるラウル。そしてフィノが初めてとった伝票を提示すると、フィノは今度こそ落ち着きを取り戻し、一件落着となった。

翌日、日常を取り戻したレオンにアイリが新しい店員として迎えられることとなった。それを見たラウルはいつかの自分を思い出し、微笑むのであった。

所感

全て丸く収まって一件落着、という形の最終回。ラウルがフィノを説得するのに使っていたのが、接客用語と注文伝票だった。接客用語は、2人が出会って間もない第2話で、フィノが苦労しつつも覚えるのに成功したというエピソードを持つ思い出深い言葉。そして、伝票は前々回の第10話で初めて客からの注文を取ることができたときのものだ。どちらもフィノが自分で成し遂げた記憶があるだけに正気を取り戻すのに十分だった、と言ったところだろうか。そのフィノのお陰でレオンで働くことに対してラウルから「しぶしぶ」がなくなったのが大きな変化と言えるだろう。これは、勇者にふさわしい仕事が良いと言うアイリに

アイリもすぐに見つかるさ。そして、俺みたいに……。

と微笑んだシーンや最後のロゴアニメーションに見ることができる。

そして今回は、勇者を目指していた頃よりも勇者らしい、とラウルが言っていたように冒険らしい冒険の様子が描かれていた回だった。多数のモンスターに行く手を阻まれつつも最終目的のフィノにたどり着くまでのシーンはアドベンチャーの要素を詰めた構成になっていた。途中で仲間がどんどんいなくなっていき、主人公のみが残るというのも王道の展開で楽しめた。最後に来て「勇者らしい」アクションが見られたのは眼福だった。

それにしても、自分で使ったマジックアイテムの代金をレイドに請求する辺り、セアラは商売上手と言うか商魂たくましいと言うか。美少女とは言えど店長は店長。

総感

勇者を目指していたものの制度廃止に伴い渋々就職した主人公が、バイトに来た魔王の娘に手を焼きつつも自らも現状に意味を見出してゆくファンタジー。魔法やドラゴンが出てくる世界なのでジャンルとしてはファンタジーとなるだろうが、内容としては「仕事」を一キーワードに据えて構成してあり現実味を帯びている。現状を嫌々こなす主人公とやる仕事全てにに喜怒哀楽をはっきり示すヒロインという構図が、つまらない日々を少し面白く過ごすカンフル剤となってくれる。

絵に関しては一部のキャラクタの主線が淡いので眩しい絵が見られる人が視聴するのが良かろう。また、サービスショット的なシーンが多いので、その趣向の人にもおすすめだ。