アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

幸腹グラフィティ 1話

「幸腹グラフィティ」の第1話から。

腹の減る初回。

粗筋

中学2年生の町子リョウは祖母を亡くして以来、ご飯がまずくなってしまっていた。そこに叔母の明から一報が入る。それは、リョウのはとこがリョウと同じ予備校の日曜コースに通うことになったため土曜日だけリョウの家にはとこを宿泊させてほしい、というもの。これを引き受けたリョウがはとことの待ち合わせ場所に向かうと、そこで小柄な少女、森野きりんに出会う。彼女こそが件のはとこで、予備校に通うことで親と喧嘩をしてきてしまったことをリョウは聞く。彼女に何かを感じたリョウは帰宅後きりんに寄せ鍋を振る舞う。これを実に美味しいと言うきりん。そしてリョウがそれを食べてみると実際に美味しいことに驚く。

翌日、きりんは風邪をひいてしまう。初の予備校を終えたきりんのためにリョウは油揚げ入りうどんを振る舞う。リョウは余った油揚げを使った稲荷寿司を食べる。食べながらきりんと家族の話をするリョウ。食事を終え、眠ろうとしたとき、きりんはリョウが一人暮らしであることを知り、リョウの家族になる、と言い出す。2人はそのまま眠りにつき、翌日きりんは自宅へ戻る。その道中、きりんはリョウからの土産、リョウ手製の稲荷寿司に喜ぶのだった。

所感

同名漫画が原作のアニメーション作品の初回。食事をテーマとしているだけにキャラクタが物を食べるシーンに気合を感じる。例えばリョウが寄せ鍋を食べる(正確には食べさせてもらう)シーンでは、唇の描写や嚥下する様子が艶めかしく描かれている。その様子は劇中できりんも

何か食べ方、色っぽい!

と目を丸くしていた。形容として「美味しそうに」より「艶めかしく」が似合うリョウの食べ方と対比するように、きりんの食べ方は美味しいものをパクパク頬張るもので、こちらは何とも食欲をそそる。食事をテーマとしていながら情欲と食欲を刺激する作品。恐ろしい。

そしてこの作品で目を引くのはやはり食べ物。どれもいちいち美味しそうで腹が鳴る。クレジットを見ると「メシデザイン」「メシ作監」という「メシ」描写専門のスタッフがいる様子。絵と分かっていながら美味しそうなそれらもまたこの作品の罪作りな要素となりそうだ。

ED はリョウときりんが歌う「笑顔になる」。2人のセリフ調の歌と前後奏とAメロの変拍子が印象的。そして、面白かったのは次回予告と提供にも ED 同様リョウときりんが歌うテーマソングが存在する点。次回予告のテーマは「しあわせグラフィティ」。ゆったりとした短調でリバーブも深めにかけられており、印象が ED とはまるで違う。それに加えて2人の掛け合いと「シュビドゥバ」という歌詞が記憶に残る。提供のテーマは「ごはんの練習」。素朴な雰囲気の曲だ。ここでは「食琴」の演奏が使われている。これは創作集団「kajii」が提唱する「食器を使った演奏」。ヴォーカルの追っかけをしている金属音のような高音楽器がそれなのだろう。食事をテーマとしているだけにこんなところにも遊び心が見られ面白い。なお「食琴」についてはこちらを参照されたい。