アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 12話

「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の第12話から。

最終回。

粗筋

正太郎は櫻子に出会ってから今までのことを回想し、再び櫻子に会いに行く。櫻子は最初こそ態度を変えなかったが、正太郎の情熱に心打たれ、正太郎を受け入れるのだった。

所感

櫻子が正太郎への気持ちを軟化させたことに落ち着いた気分になった。それには今回の大半の時間をかけて描かれた正太郎と櫻子の過去が意味をなす。「日常」に倦怠感を覚えた過去の正太郎を櫻子がこのセリフと共に励ます。

決して時は止まらない。永遠に動き続けるんだ。土に埋めた死体が、やがて白い骨になるように。いいかい、時を止めてしまうのは常に自分自身なんだ。未来にすくんで足を止めれば何も得られない。何も始まらない。ただ死んだように生きるだけだ。

悲観するな。君はまだ灰になってない。血と肉があり、骨がしっかりと君を支えている。

これは過去の正太郎を救い、また今の正太郎を走り出させるためのカンフル剤として機能するだけではなく、後のシーンで正太郎が櫻子を説得する材料にもなっている。その材料を元にして作られた、正太郎が櫻子に寄せる全幅の信頼は、巡って「未来にすくんで」いた櫻子を救った。良きパートナーとなりそうな展開に心躍った。

一方、肝心の黒幕である花房については、ラストシーンで花房が意味深長なセリフを口にするにとどまった。櫻子の過去についても明言はされておらず、写真がちらりと映ったのみ。何とも含みのある終わり方であるだけに続きが気になるところだ。

今回のハイライト

過去の櫻子のセリフを受けた正太郎が走り出したところから櫻子が正太郎を受け入れるまでの一連のシーン。過去と現実、正太郎と櫻子のリンクのさせ方に目を見張った。

総感

少年と標本士の女性と骨を中心に繰り広げられるミステリー。骨の太い推理シーンは見もの。題材たる骨が出てくる理由には、それぞれの人間模様がきちんと描かれ、ストーリーとしても純粋に面白い。そこにはただ出てくるだけ、という登場人物はおらず、一種群像劇としての性格も感じられる。推理もドラマも見られる良作。