アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

Go! プリンセスプリキュア 50話

「Go! プリンセスプリキュア」の第50話から。

最終回。

粗筋

ディスピアを倒し、喜ぶはるかたちの前にクローズが現れる。ディスピアは倒される前にクローズにその力を残していったのだ。はるかたちとは相容れない、と言い放ったクローズに対し、はるかは説得を試みようと接近するが、クローズからの攻撃を受けたのをきっかけにクローズと一対一でのバトルが始まる。バトルの中で、絶望も夢と同様自分を形作っているものであることにはるかは気付き、クローズにそれを告げる。はるかの言葉を聞いたクローズは興を削がれたのか、決着をつけないままどこかへ飛び去り、夢が浜の街に平和が戻る。それと同時にホープキングダムも元に戻り、用途を失ったドレスアップキーはホープキングダムに返納。夢が浜とホープキングダムの間を行き来することもかなわなくなることが分かり、悲しむ一同をはるかが励ます。そして、彼女たちの夢は未来へ続いてゆくのだった。

所感

夢の象徴たるはるかが絶望の象徴たるクローズを受け入れ、またクローズもそれを理解したように消えてゆく。夢と絶望は相容れないかも知れないが、無理に遠ざけるのではなく、寧ろそれを越えることが自分の力になる、というメッセージが感じられた。かといってバトルが蔑ろになった訳ではなく、寧ろぶつかる様からは真剣さが感じられ、動画の滑らかさからもスタッフの気持ちが窺える。

印象的だったのはそれだけではない。ラストシーンでは未来のはるかたちと思しき女性たちが映し出される。みなみは研究員、きららはモデル、トワはプリンセス(またはクイーン)に、それぞれなっているようだ。画面にこそ出ていないがゆいも絵本作家になるという夢を叶えたらしく、その本を読む少女が出てくる。では、はるかの「プリンセス」になるという夢はどうか? それに対しての答えは明示されていない。それはかつて劇中で望月ゆめが言っていたように、それぞれの受け取り手が考え、楽しむものなのかも知れない。そう考えると、この作品が丸々絵本のようだったとも思え、感慨深く思える。

総感

プリキュア」シリーズ12作目。プリンセスをモチーフに、主人公のはるかを中心に、キャラクタたちが各々の夢を見据え、またそれを叶えるべく努力し、ときには格闘する姿が眩しい。中でもはるかの心の強さは目を見張るほどで、それに惹かれて他のキャラクタたちがはるかに集まってゆく様は納得の一言。管弦楽を中心に据えられた劇伴はプリンセスがイメージされ、時に優美に、時に勇ましく作品を彩る。女児向けの作品なのでキャラクタデザインや設定群が人を選ぶかも知れないが、そこさえクリアできれば個性豊かなキャラクタたちが織りなす、夢との物語を楽しめるだろう。中々叶わない「夢」とそれにつきものの「絶望」。それらに頭を抱えたときに見たくなる秀作だ。