アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

月がきれい 1話

月がきれい」の第1話から。

ゆったりとした初回。

粗筋

中学3年生の安曇小太郎は、同じクラスの水野茜とファミリーレストランで遭遇。また、体育祭の係でも同じ用具係となり、SNSのIDも交換。それをきっかけとして、小太郎は茜が気になり始めるのだった。

所感

オリジナルアニメーション作品の初回。中学生の淡い恋愛模様を描く作品となりそうだ。監督は「暗殺教室」シリーズ、「結城友奈は勇者である」シリーズなどの岸誠二。今まではどちらかと言えば心理戦や絶望的なバトルものが多かっただけに、穏やかな作品を作るとどんな風になるか楽しみだ。

中学生の生活風景や心情を中心に、何気ない日常から恋心が生まれる様が丁寧に描かれているのが特徴。ファミレスでばったり出会ったり、同じ係になったときに髪の癖に気付いたり。そんなところに相手を意識するきっかけが潜んでいる。極端な言い方をしてしまえば、「ここで主人公を好きになった」という場面がないことこそが今回の見所であり、この作品の作風となっている。曖昧なものを「それが曖昧である」と提示する。そんな難しいことをこの作品はやっているように感じられる。ふうわりとした春風の中、小太郎と茜を見守ってゆきたい。

そんな作風を支えるビジュアルも特徴的。塗りはランダムなテクスチャを施したように不均一になっており、しかしそれが不思議と雰囲気にマッチしている。OPではテロップの上に桜の花びらが重なり、EDでは約1分をかけてゆっくりと男女の手がつながれる。細かい演出にも注意して楽しみたい。

なお副題の「春と修羅」は宮沢賢治の詩集。小太郎たちや描かれる風景という現象はどのように明滅してゆくだろうか。