アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

のんのんびより 12話

「のんのんびより」の第12話から。

最終回。

粗筋

  • 蛍は小鞠とピクニックに出かけた。手作り弁当を交換する約束をしていたため、早速話を切り出す蛍。しかし、小鞠は、弁当作りを失敗した、と苦い顔。それを見た蛍は小鞠を悲しませまいと小鞠手製の弁当に箸をつける。どれもこれも酷い出来ながら何とか完食した蛍。その様子を見て気を良くした小鞠は、デザートとして新たな一品を蛍に差し出す。流石にもう無理、と蛍は食べるのを拒否しようとするが、小鞠の満面の笑みに断ることができなかった。
  • 道普請の招集がかかり、一条家は一家総出で外出する。子供は遊んでいて良い、ということでいつものメンバーで集まり、食べられる野草を探したり、花の冠を作ったりして楽しんだ。

所感

今回はいつも以上に風景単体の描写が多かった印象を受けた。アバンから始まり、一条家が道普請の集合場所に向かう道中、そして最後にれんげ、夏海、小鞠、蛍が手を振るまでの道すがらなど。のんびりして気持ち良ささえ感じる。

そんな光景とは裏腹に A パートのピクニックが気の毒な方向に楽しかった。王道と言えば王道の失敗弁当。その中でも見た目は(炭も交じっていたが)(パッと見では)(比較的)まともで、敢えて分類するならば「ちゃんと作ろうとしてきっちり失敗した」パターンだ。とは言えど、炭化した焼きそば、チョコレートソースの(味しかしない)ハンバーグととんでも料理のオンパレード。小鞠を溺愛する蛍をして、食する際に素の反応を引き出し、完食したときにはうつろな目を強いる小鞠の料理。越谷家の雪子お母さんにおかれましては、今後のことを考えて娘さんの料理を監修して頂きたくお願い申し上げる所存だ。

今回のハイライト

A パートのピクニックでの、小鞠が作った弁当に対する蛍の反応

蛍「まず、このイカ墨のパスタから頂いても良いですか?」

小鞠「あぁ、それ焼きそば……」

蛍「あ、焼きそば、頂きますね」

小鞠「ああ、ごめん! (焼きそばが)固まってた?」

蛍「いや、大丈夫です。私、かた焼きそばも好きですから」

小鞠「あ……、それ、普通の焼きそば……」

蛍「あ、普通の焼きそば、頂きますね」

における「あ、」の入れ方や

(小鞠、蛍が焼きそばを完食したのを見て嬉しがりながら)

小鞠「じゃあ、このハンバーグも食べてみて! これ、結構おすすめかも」

蛍「え、まだ……? あ、じゃなくて、ハ、ハンバーグですね!」

小鞠「それね、テレビでやってたんだけど、チョコレートソース、かけてるんだ」

(蛍、口を手で押さえて、目を見開きながら)

蛍(チョコの味しかしない! チ、チョコの味しかしない!)

のシーンでの、「え、まだ……」の素の感じ、「チ、」から聞き取れる動揺の具合が大変に面白かった。

総感

田舎に暮らす子供たちの日常を描いたほのぼのコメディ。所謂「日常系」の作品。舞台の情景が醸し出すのんびりとした要素が魅力。また、この作品においてはエッジの効いた言動が多いのも特徴と言って良かろう。特に最年少のれんげが作り出す、哲学的とさえ思える作品群には目を見張るものがある。悠然とした雰囲気とテンポよく出てくるネタ。その絶妙なマッチングがこの作品を形作っている。ゆったりとした中でポイントを押さえた笑いが欲しいときに見たい一作だ。

絵に関しては、はっきりとした輪郭を持つキャラクタたちと、四季折々の色鮮やかな背景が心地よく目に映る。崩れることもなく安心して見られた。

劇伴に関しては、田舎を意識したと思われる楽曲群がこの作品の独特の雰囲気を醸成している。電子的な印象の音色は控えられ、代わりにパイプ系やアコーディオンといった楽器が主立って使われている。