アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

魔法少女育成計画 10話

魔法少女育成計画」の第10話から。

救われない死の回。

粗筋

ハードゴア・アリスはミナエルにより人間の姿を知られてしまい、スイムスイムにより殺害されてしまう。次々と魔法少女たちを殺めてゆくスイムスイム、たま、ミナエルが次にターゲットに選んだのはクラムベリー。一人で森の中を歩くクラムベリーをスイムスイムたちは狙うが、返り討ちに遭い、ミナエルが死亡、たまが負傷してしまうのだった。

所感

ハードゴア・アリスこと鳩田亜子の不遇さに言葉を失った。父親が母親を殺し、それがきっかけで学校では孤立。衣食住こそ親戚で足りているものの、表情の変化は殆どない。そんな亜子は鍵を失くして困っているところを助けられたのをきっかけにスノーホワイトを敬愛するようになり、ようやく亜子に笑顔が訪れる。しかし今回、ファヴの一方的なルール変更にスノーホワイトは怒りに我を忘れ、ハードゴア・アリスにきつくあたってしまう。そこに追い打ちをかけるようにスイムスイムたちの襲撃に遭い、命を落とす。亜子はまだ幼いように見えたが中学生程度の年齢だろうか。亜子の十数年という短い一生は、親によって壊された平和と、謎の計画による理不尽な暴力によって幕を閉じる。感想を起こすのもおこがましいような不遇な死を、ただただ悼むばかりである。

そんな最期はなぜ訪れねばならなかったのか。それはクラムベリーとファヴから飛び出した発言にヒントが見える。

ファヴ「マスターは選抜試験の進行役なのに無責任ポン」

クラムベリー「責任? 真実を伝えていない時点で、最初からアウトでしょ。魔法少女になったときから、自分たちが選抜試験を受けているという、ね」

ファヴ「魔法少女人材育成計画に則った報告書を適当にでっち上げとくポン」

クラムベリー「血の赤い色で彩られた殺し合いを、牧歌的で平和な、良い子の試験に見せかけておいて下さい」

ファヴがクラムベリーの「責任」について言及するシーンでの一コマだ。また、この会話の直前に、魔法少女の人数を4人にすることの理由を考えたのがクラムベリーであることをファヴが口にしている。魔法少女となる人材を育成、選抜する計画だったはずが、実際は殺し合いになっており、そこにはクラムベリーが一枚噛んでいる、ということが分かる。クラムベリーが只者でないのは第6話で戦いを繰り広げているときに見せた戦闘狂としての一面から窺い知ることができる。そんなクラムベリーが魔法少女選抜を自分の趣味のために使っている、というのが先の会話の背景だろうか。だとすれば、今まで死んでいった魔法少女たちが浮かばれない。しかし、クラムベリーは尋常でない強さの持ち主。そう簡単に殺戮をやめるとも思えない。どんどん闇の深度を増してゆく本作。どこまで黒くなってゆくのか。今はまだ、想像だにできない。