アニメと音楽のメモ帳

アニメと音楽についてまとまりない文章を。

いなり、こんこん、恋いろは。 10話

いなり、こんこん、恋いろは。」の第10話から。

最終回。

粗筋

宇迦が閉じ込められているという天岩戸にいなりは急ぐ。途中色々な神の助けを借りつつ岩戸の前へたどり着いたいなりはこじ開けようとする。シシやロロ、コン、狐の精霊たち、果ては大年神まで加わるうちに戸は少しずつ開いてゆく。それを遠隔から見ていた天照の力で最後の数センチが開かれ、いなりは宇迦と再会する。いなりは宇迦に、自分が神通力を使うことで宇迦が消えてゆくことを教えてくれなかったことをに言及、一方の宇迦はいなりに、神通力が暴走したことを黙っていたことに触れ、2人は互いに互いのことを考えて秘密にしていたことに気付く。そして、いなりは神通力を宇迦に返し、人間界に戻った。そのときからいなりには宇迦を始め、シシやロロ、コンまでも見えなくなった。しかし、いなりは見えずとも存在を信じているのだった。

所感

「神通力を返さず宇迦が消える」か「神通力を返して宇迦たちに会えなくなる」か、という選択でいなりは後者を選んだ。実質的に今生の別れなのだが、その後に待っていた結末が、それぞれの道を歩みつつも互いの存在を信じ合うことで笑顔で歩んでゆけるというものであり、大変に気持ち良い終わり方だった。

今回は今まで以上にいなりが頑張っていた様子が印象的だった。特に、手も顔もぼろぼろにしながら岩戸に向かう様子には見ているこちらが辛くなった。しかし、最後まで純粋さと一生懸命さ、そして素朴さを貫き通したいなりには何だか励まされたようだ。拍手を送りたい。

今回のハイライト

いなりが天岩戸を開けようとしているシーン。詳細は所感に。

今回のハイライト2

神通力をいなりから受け取ったときの宇迦といなりの会話。

宇迦「いなりにとって神通力は、迷惑だった?」

いなり「ほんまは、世界中に自慢したかった位、素敵な力でした!」

宇迦「私も、今までと変わらず、ずっと見守ってるから……。ありがとう、いなり」

いなり「うか様、ありがとう!」

最後まで宇迦が気にしていた、自分が神通力をいなりに渡してしまったためにいなりを苦しめてしまったのではないか、という悩みが解放された。ぐっと胸に迫るものがあった。

今回のハイライト3

いなりが人間界に帰り、京子たちに迎えられるシーン。ここでは、元の世界に戻ったこと、同時に宇迦にもう会えないということを実感したのではなかろうか。泣かせるシーンである。

総感

女子中学生、いなりと「お稲荷さん」宇迦の交流を描いた作品。元々違う存在である2人(正確には1人と1柱)が出会い、宇迦がいなりにひょんなことから神通力を渡してしまったことで話が盛り上がる。友情あり恋愛ありのど真ん中青春ものでありながら、「変身」という要素が加わることで少しファンタジックになり面白みが増している。

舞台が京都であることから京都ことばが多く聞くことができるのが本作の大きな特徴だ。その言葉づかいやイントネーションが、ふわっとしつつもしっかりとした雰囲気を醸成する重要な一要素となっている。

絵ははっきりとした色調とタッチに好感が持てる。劇伴ではモチーフとなるメロディーを様々に用いることで、バリエーションがありながら耳に馴染みやすく、作品の世界に入りやすくする効果をもたらしている。